二人の世界



 夜の11時過ぎ。先程彼女に送ったメールへの返事が届いた。

『今から電話? うん、良いよ^□^』

 僕は早速彼女に電話した。

『もしもし、どうしたの?』

 彼女の声が僕の耳に響いた。それが心地良くて、思わず顔が笑ってしまう。

『いや、言っておきたかったことがあるんだ。実は今日さ、世界史の資料集見てたらおまえソックリな人がいたんだって!』

 その『ソックリな人』と、彼女の顔を思い浮かべて僕は笑った。

『え、誰?』

 多少戸惑いつつも、彼女は興味津々だ。僕は笑い出すのを必死で堪えながらこう告げた。

「ヴィーナス」

『バカ!』

 彼女は間髪入れず声高に批判した。けど、次の瞬間には二人とも笑っていた。

 結局それだけが言いたくて電話したんだ。美の女神が見劣りするほど、彼女が可愛いってことを。
 


 

ホーム| 短編INDEX| WEB CLAP |


2009年10月28日:デザイン改修
2006年08月05日:デザイン改修