快晴



 いつか見た夢の続きに、今立っている。いつも夢見ていたその続きを、今歩き出そうとしている。

 夢はそのまま夢のままで、いつまでも殆ど空想で、手を伸ばしても届かないどころか、何処に向かえば良いのかさえ覚束ず、輪郭すらも与り知らぬまま生涯を閉じるのだろうかと失望していた。

 夢で飢えや雨風は凌げないと言い訳して、現実的な選択なんだと言い聞かせ、誰にも打ち明けぬまま本心をも欺いて、刻一刻と老いぼれていく。育まれることのなかった夢は、人知れず心残りへと育つ。

 きっとそれは多くの人にとってそうだから、横たわり、頽れて見るあの夢と同じ名前が付いているのだろう。

 けれど私のそれは叶えなければ死んでしまう類いのもの。絵空事のようでいて、質量を伴うもの。確かな熱を持って身体中を駆けめぐる血潮。幾ら無視して気付かぬふりをしても、耳を塞いでやり過ごそうとしても、目の前の雑事に心を砕いていても、そこかしこに同時にあるもの。

 いつまでもは看過し得ない、私自身が生まれた理由。

 選んでしまえばこれまでの歳月こそが緩やかな自殺だったのだと思い知った。

 心地好い音楽も、偉大な絵画も、大切な物語も皆、いつしか焦燥へと変わったから、成さぬという選択は最早あり得ない。

 歩こう、行く先が暗闇で満ちていても。今この場所を離れる勇気が沸かずとも。踏み出すのなら、その一歩は前人未踏の自分だけの道。未知なるものもやがて既知となる。

 耐え抜いた痛みも、忘れたい悲しみもあるけれど、それでも今の自分があり、全部が糧だったと言えるから、まだ見ぬ怖れも手放せる。

 いつか見た夢の続きに、今立っている。いつも夢見ていたその続きを今、歩き出している。

 この夢の行き着く先はきっと、果てしなく澄み渡っている。


 
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